住宅用太陽光発電を設置しても2019年以降は「儲からない」という噂がありますが、そんなことはありません。
太陽光発電システムの改良が年々進み、今では省スペースでもパワフルな発電ができるようになっています。
今回は、これから住宅用太陽光発電の設置を検討している方へ、住宅用太陽光発電の設置費用と売電収入の目安、補助金、2019年問題など、Q&A形式でよくある疑問に1つ1つお答えいたします。
ポイントを抑えて、賢く太陽光発電システムを導入しましょう。
住宅用太陽光発電の設置費用の相場
3kW~5kW程度の一般的な住宅用の太陽光発電の設置費用は、200万円~350万円が相場の目安になっています(2018年現在)。
住宅用太陽光発電の設置費用の見積もりを依頼して、A社の総額が230万円、B社が190万円だった場合、価格が低いB社の方がお得に見えますが総額だけで判断するのは危険です。
まずは一緒に、太陽光発電の価格を見る際に役立つ基本を確認していきましょう。
住宅用太陽光発電の設置費用の内訳は3つに分類することができます。
(1)部材代(太陽光パネル、架台、ケーブル、パワコンなど)
(2)工事代(人件費や足場の設置費用など)
(3)諸経費((1)(2)以外にかかる費用)
実際に見積を依頼すると、(1)(2)(3)の合計金額から「-2,230,000円」などと詳細がわからない「値引額」が記載されている見積書が届きます。
何がどのくらい安くなったのかが具体的にわからないので、業者の比較が難しいと言われる理由の1つになっています。
そこでおすすめなのが、見積書に記載されている「パネル型番」を確認して性能や価格帯を比較する方法です。
太陽光発電は、太陽光パネルを安く設置できたから得をするということではなく、今後どのくらいの電気を作れて、いくらで売ることができるのかを把握することの方が大切です。
大手メーカーの製品でもパネルの型番によって発電性能が大きく異なっているので、見積書が届いたら、メーカー、パネル型番、変換効率、kW相場単価を調べてみましょう。
変換効率は、高ければ高いほどたくさんの電気を作り出せることを意味しています。1kW当たりの相場単価と合わせて比較することで、予算にあったコスパの良い製品が見えてきます。
住宅用太陽光発電の売電収入はいくら?
再生エネルギーの売電制度には、「全量買取」と「余剰電力買取」の2つのタイプがあります。
全量買取の買取価格
全量買取制とは、太陽光発電システムなどにより発電された電気の全量を売電できる制度です。総出力が10kW以上と決まっているので、個人の住宅で採用されるケースはほとんどありません。
2018年度の売電価格は18円/kWhです。20年間、同じ価格で売電することができます。
余剰電力の買取価格
自宅で作られた電気を生活に使い、余った電気を売ることができるのが「余剰電力の買取制度」です。総出力10kW未満の住宅用太陽光発電の売電には「余剰電力の買取制度」が採用されています。
設置した年から10年間、同じ価格で売電することができます。
出力制御なしの場合、2018年度の再生可能エネルギー買取価格(調達価格)は10kW未満の住宅用で26円/kWhです。2019年度は24円/kWhになることが発表されています。
出力制御ありの場合、2018年度が28円/kWh、2019年度は26円/kWhになります。
出力制御とは、電力需要以上に発電量があった時、電力会社側で太陽光発電システムが発電しないように制御する制度です。
※出力制御対応機器の設置義務がある地域:北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、新潟県、富山県、石川県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
2円の価格差がありますが、総合的にみると出力制御対応義務の有無による売電価格への影響はほとんどありません。
国の補助金がなくても損しない?
太陽光発電といったら補助金を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
数年前までは「補助金がたくさんもらえたからお得に設置できた」という話を聞くことがあったと思いますが、国の補助金がなくなった今でも損をするということはありません。
国からの補助金は2014年度に終了していますが、都道府県と市町村では今でも補助金を支給している自治体があります。
ただし、各自治体の補助金は「予算」が限られているので、どちらか一方の補助金しか支給されないケースもあります。
予算を超えた自治体から順次補助金支給が終了しているので、住宅用太陽光発電の設置を検討している方は、補助金が支給されているうちに申し込むことを強くおすすめします。
1年ごとに売電価格が下がってきているので、補助金が支給されて売電価格が高い「今」が一番お得と言えます。
太陽光発電2019年問題で売電できなくなる?
2019年問題の対象者は2009年に設置した人なので、これから設置する場合はすぐに影響を受けることはありません。
先ほどお伝えした通り、余剰電力の買取制度は、10年間固定の価格で売電できる制度です。2009年にこの制度が始まったので、10年の満了を迎える設置者が初めてでるのが「2019年」になります。
2009年に10kW未満の住宅用太陽光発電を設置した場合、2019年以降は売電ができなくなるのか、それとも売電価格が下がるのかなど、様々な予測がされていますが、正式な方針の発表はまだされていません。
もし仮に10年目以降に売電ができなくなってしまったとしても、太陽光発電システムの寿命は20年以上と言われているので、今までと同様に電気を作り出すことはできます。
10年満了後の活用方法
(1)太陽光発電システム+蓄電池
蓄電池を使うことで、日中発電して使わなかった分の電力を夜間に使用することができるようになります。
太陽光発電システムと蓄電池を併用すると大幅に購入する電気の量を減らすことができるので、今後はさらにニーズが高まりそうです。
(2)太陽光発電システム+蓄電池+エコキュート
エコキュートとは、空気の熱でお湯を沸かす自然冷媒ヒートポンプ給湯機です。
深夜の電気代が安い時間帯にお湯を作るので、電気代を削減することができます。そして、停電や断水の時でもタンクから水を取り出すことができるので、防災対策としても一般的になっています。
太陽光発電システム、蓄電池、エコキュートの3つが揃っている場合は、自家消費率を98%にまで高められると言われています。
つまり、ほとんど電気を購入する必要がなくなるという大きなメリットがあります。
(3)売電先の見直し
10年の契約期間が終了すると、自由に売電先の小売電気事業者を選ぶことができるようになります。
大手の電力会社では今後の方針は未定となっていますが、今後は選択肢が増えることで魅力のある新しいサービスが生まれる可能性があります。
住宅用太陽光発電の設置時のポイントと注意点
初期投資をできるだけ抑え、性能の良いシステムでたくさん電気を作り、高く売るのが太陽光発電設置のポイントです。
総額だけで判断すると売電量に大きな差が出るので、メーカーだけではなく必ずパネル型番を確認してください。
WEBサービスの中には一度に複数の会社の見積もりができる便利なサービスもあるので、ぜひ見積書を比較してみてください。
そして、専門業者の中には「モニター価格」「工事代無料」「棟限定のキャンペーン価格」を強くアピールする訪問営業会社があります。
全てではありませんが、このようなセールストークの会社に依頼すると、相場よりも高額になる場合があるので注意が必要です。
住宅用太陽光発電システムは、一度購入すると20年以上使うことができる製品です。相見積りで納得の業者を選び、売電価格が高く補助金の支給がある今のうちにお得なエコライフをスタートさせましょう。